A-4 従事者のスキルアップ体制

●医療機関において従事者のスキルアップの体制がある ◆意義と目的 対象者の多様なニーズに柔軟に対応していくためには、スタッフ自身が常にスキルアップを目指していくことが重要です。また多職種でチームアプローチを展開していくためにスタッフ同士が互いの支援方法についてスーパーバイズを受けたり、支援のあり方をともに考え合える環境を設けることも重要な要素であると考えます。 ◆具体的な支援の内容 スタッフ自身がスキルアップをし、統合的支援へのモチベーションを維持していくためには、院内学習会やスーパーバイズの機会を設けたり、院内外での研修会や勉強会に参加して、継続的に参加して知識の向上やスキルアップを目指していく体制が必要と考えます。また医療機関としてそれらの学習を推奨する姿勢が求められるものと考えます。 ◆効果的な援助要素 □医療機関内には従事者同士でサポートし合える環境がある チームアプローチによるスーパーバイズの機会がある □医療機関は、従事者の継続的な学習のために、院内で研修会や勉強会を開催している □医療機関は、従事者の継続的な学習のために、院外の研修会や勉強会へ参加を奨励している □医療機関として、従事者のスキルアップのため院外の学会や研修会での発表や実践報告を奨励している

A-3 多機関との協働支援体制

●多機関や主治医と協働で支援を行う体制がある ◆意義と目的 重い精神障害のある人は医療と日常生活の具体的支援の双方が必要であるため、他機関との協働支援体制が不可欠になります。そのため多機関とccなどを通しての情報共有は重要です。また主治医が他院の場合、主治医から定期的に指示や通院時の状況などを伝えてもらえるよう働きかけることで、精神症状や生活の状況の把握が可能になり、医療と生活の両支援の提供が可能になると考えます。 ◆具体的な支援の内容 重い精神障害のある人の地域定着を実現していくために、どの機関からも進言できる関係性のもと、他機関と定期的にccを行い、対象者の情報を共有することが重要です。さらにA-2と同様に、ccには主治医や対象者、家族が入ることも重要でしょう。同時に、主治医との協働において、たとえ主治医が他機関の所属であっても、定期的に診察時の状況などを伝えてもらうことで医療と生活の双方の支援の提供が可能になるものと考えます。 ◆効果的な援助要素 □必要に応じて他機関と定期的に情報交換会やccを行っている □多機関との情報交換会やccは、関係機関の従事者が集まる 行政、利用中の社会資源など □多機関との情報交換会やccは、日程調整などの意見をどこの機関も提案し合える □多機関との情報交換会やccは、必要に応じて主治医が参加している □多機関との情報交換会やccは、対象者や家族が入るようにしている □他院通院中のデイケア利用者には主治医に定期報告をして、返事をもらうようにしている 月に1回 3カ月に1回 □他院通院者は必要に応じて主治医と連絡が取れる体制がある

A-2 多部署との協働支援体制

●多部署と協働で支援することへの共通認識がある ◆意義と目的 重い精神障害のある人の地域定着支援には、単部門での支援には限界があり多部門による包括的なケアを提供することが求められます。ここでは、どのような部門がどのような役割を果たしていく必要があるのか、またその際に求められる各部署の役割について示しています。 ◆具体的な支援の内容 デイケアとアウトリーチ支援を効果的に統合的に提供するためには、デイケアやアウトリーチ支援部門のみならず、病棟や外来などの多部門のスタッフが集まり協議をする機会が重要になります。いずれのサービスにおいても利用を始める際には、ケースカンファレンス(cc)などを開催して関係各部署と対象者の情報を共有し、支援方針を明確にしておく必要があります。その際には、主治医の同席、対象者本人や家族が同席することが望ましいでしょう。またccはどの部署からでも進言することができ、自機関での対応が困難な場合は他機関へつなぐことも検討される必要があります。このような多部署との集まりでは、ccなどのような対象者に関することのみならず、支援体制や課題について検討することも重要です。 ◆効果的な援助要素 □多部署との情報共有体制が明確になっている アウトリーチ支援の利用者がデイケアの利用を開始する際に、関係各部署と対象者にかかわるccをする場がある デイケア利用者がアウトリーチ支援の利用を開始する際に、関係各部署と対象者にかかわるccをする場がある ccには外来の各部署と病棟など様々な部署が参加している □利用者の情報は集約されていて、院内の関係者がいつでも見られるようになっている カルテ 電子カルテ 個別記録 連絡ノート 院内メール等の活用 多部署の従事者とは電話や直接行き来して口頭で報告している □ccには主治医も参加する □ccは対象者が同席している □ccの内容を対象者(必要に応じて家族に)伝える体制がある □ccは、どの機関・部署からでも進言できる体制がある □必要に応じて他の訪問機関・部署へつなぐ体制がある □多部署で個別支援や部署の課題について話し合う機会がある

A-1 デイケアとアウトリーチ支援の両サービス利用者に対する統合的な支援体制

●デイケアもアウトリーチ支援も職域を超えて、多部署、多職種チームが形成されている ◆意義と目的 重い精神障害のある人に対する包括的なケア提供の有効性は、ACT研究や集中型ケアマネジメント研究などによって実証されています。 このような包括的な支援を提供するデイケアとアウトリーチ支援の統合的なサービス提供においても、重い精神障害のある人の地域定着のための支援が体系化されている(異なる組織であったとしても、相互に十分な活用ができる一貫性のある)形で提供されることが重要です。 ◆具体的な支援の内容 デイケア部門とアウトリーチ支援部門が一体的な運営を行うためには、デイケアおよびアウトリーチ支援部門が直接対人サービスを伴うケアマネジメントの機能を持つことが重要です。そのため、デイケアや訪問看護ステーション、病棟やOT部門、外来看護師など様々な部署がかかわることが重要です。 また、統合的にサービスを提供するためにどの部署がイニシアティブを取るのか、担当を決めたうえで主治医を含めた協働支援体制が求められます。このような支援体制のもとで、効果的なサービスを提供するためには、デイケアとアウトリーチ支援の双方での情報がタイムリーに確認できる情報共有体制も重要な要素となります。 ◆効果的な援助要素 □アウトリーチ支援には多部署がかかわっている デイケア、ステーション、病棟、OT、外来看護師、担当ワーカー、主治医など □支援の中心になって動く部署や担当を明確にしている 関係各部署の役割が視覚化され共有されている □中心となる担当者の不在時に備えて、サブ担当(1名以上)を配置している □支援方針について、主治医と情報交換、共有できる担当者が決められている □デイケアとアウトリーチ支援の双方の利用の対象者の情報が集約されていて、院内の関係者がいつでも見られるようになっている カルテ 電子カルテ 個別記録 連絡ノート 電子カルテ 院内メール等の活用 □デイケア参加後とアウトリーチ支援実施後にそれぞれの部署が双方に報告している □デイケアおよびアウトリーチ支援のそれぞれの部署はデイケア利用者の外来受診状況を把握できる

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