F-5 地域に開かれた医療機関を目指している

● 地域に開かれた医療機関を目指している ◆意義と目的 精神障害のある人の地域移行が進むなかで、医療機関自体も開かれたものになる必要があると考えます。開かれた医療機関を目指していくことで、一般市民に対する精神障害に対する正しい知識の普及・啓発になり、偏見や差別感の是正につながっていくものと考えます。 ◆具体的な支援の内容 開かれた医療機関となるためには、医療機関にピアスタッフ、他機関の従事者といった人々が出入りできる環境を整えることが必要になります。また医師やソーシャルワーカーなどが講演などを行うことも精神障害に対する正しい知識の普及・啓発にもつながるものと考えます。さらに地域の一社会資源として医療機関が地域のイベントに積極的に参加したり、デイケアプログラムの一部を外部講師に委託したりすることで、地域全体の活性化、ボトムアップを目指していくことが重要であると考えます。このような活動にボランティアを活用することも、正しい知識の普及・啓発につながっていくものと考えます。 ◆効果的な援助要素 □医療機関に様々な人が出入りしている ・ピアスタッフ、他機関従事者 ・退院後の人でも病棟などに面会に行くことができる □デイケアプログラムに外部講師を依頼している □ボランティアセンターに登録して、デイケアなどで活動できるボランティアを募集している □医師やワーカーが地域で講演を行う機会がある □地域のイベントに参加し物品販売や普及啓発を行っている □地域住民との懇談会などを定期的に開催し、精神保健福祉に関する啓蒙活動を行っている

F-4 ピア同士の支援やピア同士の活動促進の支援

● ピア同士の活動を支援したり、ピア同士の活動を活性化していく働きかけが行われている ◆意義と目的 対象者が地域で孤立することなく主体的に生活を継続していくためには、ピアの支援は、従事者の支援よりも大きな意義を持つことがあります。そのため、仲間同士で支え合うことのできる、ピア活動を支援したり促進していくことは重い精神障害のある人にとって大変心強いものになると考えます。 ◆具体的な支援の内容 従事者はピアサポートの効果を十分に理解し、それらの活動を推進していく役割があると考えます。また、ピアメンバーがピアの力を活用して、電話や手紙、送迎など様々な活動ができるような場を設けることも重要であると考えます。さらに、このような活動の体験発表などを行う機会を持つことで対象者の自信の向上や主体的な活動への意欲が湧いてくるものと考えます。また、サービス導入の際にピアサポーターが活動内容の紹介や見学の対応をすることで、見学者の緊張や不安の軽減につながる有用な方法になるでしょう。 ◆効果的な援助要素 □従事者はピア同士の活動の必要性を認識している □従事者は、ピア同士の活動をサポートしている □ピア同士の活動は多岐にわたっている ・電話・手紙・送迎・訪問・引っ越しの手伝いなど □ピアとして経験を語る機会がある □ピアサポート促進のために自己責任のもと、個別の友人関係構築を推奨している ・メールアドレスや電話番号の交換 ・プライベートの交遊 □ピアサポートの体制がある ・ピアサポートの中心になるメンバーがいる ・ピアサポーターが活動できるように担当や活動の場を設けている ・ピアサポーターがデイケアの活動内容の紹介や見学の対応をしている

F-3 必要に応じての近隣住民や大家とのかかわり

● アウトリーチ支援の際に対象者のプライバシーに配慮しながら、必要に応じて近隣住民や大家へのサポート体制がある ◆意義と目的 重い精神障害のある人が、地域で孤立することなく主体的な生活を継続していくためには、近隣住民や大家などインフォーマルサポートの存在は欠かせないものと考えます。必要に応じて、これらの人たちの協力を得られる関係性を整えておくことで、日常生活上の様子を聞いたり、タイムリーな対応が必要な時に連絡をもらえるようになるものと考えます。また、支援体制があるということを近隣住民や大家に伝えておくことは、そのような人たちの安心にもつながるものと考えます。 ◆具体的な支援の内容 対象者が主体的な地域生活を継続していくために近隣住民との連絡調整役として、行政機関に関わってもらう体制があることは、対象者、住民の双方が安心して生活をしていくために重要であると考えます。また、必要に応じて近隣住民や民生委員や自治会長、大家・不動産屋などとインフォーマルサポートネットワークを構築し、緊急時には連絡をもらえる体制を設けておくことも、双方の安心した生活につながるものと考えます。このようなサポート体制は必ずしもすべての対象者に必要となるものではなく、インフォーマルサポートネットワークを構築していく際には、対象者のプライバシーに配慮する必要があります。 ◆効果的な援助要素 □近隣との関係について行政(市区町村、保健所など)に関わってもらう体制がある □必要に応じて近隣住民や民生委員や自治会長、大家・不動産屋などからデイケアもしくはアウトリーチ支援担当者に連絡をもらえる体制がある □必要に応じて大家・不動産屋にはサポート体制があることを伝えている □近隣住民や大家・不動産屋との関係は対象者のプライバシーに配慮している

F-2 家族に対する個別支援

● 家族との個別面接の機会や電話相談などを設けて家族自身を支援する体制がある ◆意義と目的 家族を支援者として捉えるのではなく、家族自身へのケアを提供する体制をとることで、家族自身のゆとりが生まれるようになり、家族自身の主体的な生活が可能になります。また家族へのケアは間接的に対象者のケアにもつながるものと考えます。さらに家族への直接的なケアを提供することで、対象者との関係性が向上する可能性もあります。   ◆具体的な支援の内容 家族を支援する方法として、直接、家族自身をケアするアウトリーチ支援体制や家族相談の機会を設けることが重要になります。また、退院時に家族のニーズを把握するための面接の機会を設けたり、デイケア利用開始時のインテークに同席を依頼することも有効な方法でしょう。 ◆効果的な援助要素 □家族に対する直接支援体制がある ・家族を対象の中心としたアウトリーチ支援体制がある ・家族がデイケアもしくはアウトリーチ支援担当者に直接相談できる体制があ る □家族の負担軽減を図る体制がある ・退院にあたって家族との面接の機会がある ・家族がデイケア導入時のインテークに参加している ・家族がアウトリーチ支援導入時にインテークに参加している

F-1 医療機関における家族支援としての家族教室等の開催

● 家族教室や家族学習会などを開催して家族同士がつながる機会が設けられている ◆意義と目的 対象者が孤立することなく主体的に生活をしていくためには、家族自身が学習会などを通じて知識を得ることが重要であると考えます。また家族も自身が家族会などにつながることによって様々な悩みを話し、情報を共有することで孤立を予防できるようになるものと考えます。 ◆具体的な支援の内容 家族教室など、家族が疾患や障害、対象者とのかかわり方について知識を深める機会や家族同士が意見交換や情報共有できる機会が定期的に開催されることが望ましいと考えます。また、家族であれ対象者の状態(入院中、通院中、デイケアのみの利用中)に限らず、参加できるようにすることによって、様々な家族とのつながりが可能になると考えます。さらにこのような会は、従事者のみで行うのではなく、積極的に家族の主体的な参加を呼びかけ、家族が孤立しない体制を設けることが重要になると考えます。 ◆効果的な援助要素 □家族教室は定期的に開催されている □家族教室の中で家族同士が自由に話せる場がある □家族であれば対象者が入院中、通院中、デイケア利用中に限らず参加できる □家族教室の中で疾患等について学ぶプログラムがある □家族教室は家族とデイケアもしくはアウトリーチ支援担当者が共同で行っている

E-3 デイケア卒業後の必要に応じた継続的アフターフォロー

● デイケアの利用が終了した後も必要に応じて継続的に支援していく体制が設けられている ◆意義と目的 特に、デイケアの利用が終了して間もない時期にはステップアップ先と双方でフォローしていく体制を設けておくことで対象者の不安や孤立感は軽減されるものと考えます。また症状悪化の早期発見や、再発の予防につながるものと考えます。 ◆具体的な支援の内容 安心して次のステップに向かっていくためには、デイケアを卒業した後も、必要に応じて相談面接の機会を持つなどフォローアップ体制を設けておくことが望ましいと考えます。また外来受診の継続の有無を把握することは、クライシスサインの発見につながっていくものと考えます。そしてステップアップ先の移行機関と協働でフォロー体制を敷き、必要に応じて迅速にサービスの提供を再開していくことで孤立の予防につながるものと考えます。 ◆効果的な援助要素 □デイケアの卒業は、本人と今後どうするのかを含めて相談した上で決めている □デイケアもしくはアウトリーチ支援担当者は、デイケアの卒業後も継続してフォローしていく体制がある □デイケアもしくはアウトリーチ支援担当者は、デイケアの卒業をする際は、外来受診が継続していることを確認している □デイケアもしくはアウトリーチ支援担当者は、デイケア卒業後も移行先と双方でフォローする体制がある □他資源を利用していてもアウトリーチ支援は、継続して利用することができ る

E-2 ステップアップに際する他機関・多部署との連携機能

● ステップアップに際しては他機関と協働で支援する体制が設けられている ◆意義と目的 ステップアップの際には、移行先の機関と協働してシームレスにサービスの提供を行っていくことで、対象者の不安や混乱は軽減されるものと考えられます。また移行先の機関と協働することで支援の網の目から抜け落ちてしまうことを防止できるものと考えます。 ◆具体的な支援の内容 シームレスにサービスの提供を行うためには、例えばアウトリーチ支援の従事者がともにデイケアに参加したり、ステップアップの移行先の見学に同行したりすることが有効であると考えます。また、ステップアップ先に提出する情報提供書を対象者とともに作成したり、必要に応じてステップアップ先と合同のカンファレンスを開催して、情報を共有することも必要であると考えます。なお、その際は対象者のプライバシーに配慮した情報公開・共有を行うことが重要になります。 ◆効果的な援助要素 □デイケアもしくはアウトリーチ支援担当者が他資源サービスの導入時は同行するなど移行先の機関と一緒にかかわる期間を設けている □ステップアップ支援の際に移行先と合同カンファレンスの体制がある □ステップアップの際に情報提供書を移行先に提出している □ステップアップの際に移行先に提供される情報提供書は対象者とともに作成されている □多機関協働の際には個人情報への配慮がある □ステップアップに際して移行先の地域事業所が主体となるccに参加してい る □ステップアップの希望があれば、主治医も含めて多職種で体制を組んで支援をしている

E-1 ステップアップに向かう働きかけ

● デイケアもアウトリーチ支援も通過型のサービスであることが明確化されている ◆意義と目的 デイケアもアウトリーチ支援も孤立しない主体的な地域生活をしていくために終結に向かう通過型サービスであることを明確にしておく必要があります。そのため、サービス利用の終結を目指してステップアップに向けた支援を行っていくことが必要になります。 ◆具体的な支援の内容 ステップアップを目指す時は対象者のペースに合わせて、行うことが重要になります。また、ステップアップを具体的にイメージできるようにステップアップに向けたプログラムを設定したり、自身のこととして主体的に考えていけるように、定期的に面接を行うなどの働きかけが求められます。併せて、特にデイケアでは対象者同士が高め合っていけるような場や雰囲気作りをしていくことが必要であると考えます。そのような働きかけをしながら徐々に終結を意識してサービスを減らしていくことが望ましいと考えます。 ◆効果的な援助要素 □ステップアップは対象者のペースに合わせて行われている □社会資源説明プログラムや相談窓口の紹介などステップアップに向けたプログラムがある □ステップアップを自分自身で考えられるように情報提供をして個別に働きかけを行っている □他の資源につなぐ時はデイケアもしくはアウトリーチ支援担当者が定期的に面接を行っている □ステップアップに向けて対象者同士が交流し高めあっていける環境がある □失敗を学習していけるような働きかけがある □ステップアップの際は、サービスを徐々に減らしていくようにしている □ステップアップを自覚できるように、デイケアの卒業の挨拶をする場がある

D-3 アウトリーチで提供されるサービスの明確化

● アウトリーチ支援は対象者のストレングスに着目したサービス提供がされている ◆意義と目的 アウトリーチ支援は、多様な対応が可能ではあるものの、それらのサービスの提供が、抱え込み、押しつけにならないよう対象者のストレングスに着目して提供することが重要になります。 ◆具体的な支援の内容 アウトリーチ支援は自宅への訪問支援のみならず、各種手続きへの同行や見学への同行、必要に応じて他科受診や精神科病院への入院への同行など幅広く柔軟に対応することが必要になります。 ◆効果的な援助要素 □アウトリーチ支援で日常生活の具体的な支援を行っている ・掃除、洗濯、食生活などの支援 ・買い物同行支援など □アウトリーチ支援で安否確認を行う □アウトリーチ支援で服薬の確認を行っている □アウトリーチ支援で日常生活や医療などに関する相談支援を行っている □アウトリーチ支援で家族を含めた支援を行っている □アウトリーチ支援には手続き同行や社会資源の見学などがある □アウトリーチ支援には他科受診や精神科病院への入院に同行する体制がある

D-2 自主性を高めるデイケアプログラムの設定

● 対象者が参加を楽しみ、また、主体的に取り組めるプログラムの設定があり、対象者の希望やニーズをプログラムに反映させている ◆意義と目的 対象者のニーズに応じたプログラムを設定することで、より主体的に取り組むことが可能になるものと考えます。また、対象者が中心になって取り組むことで、対象者自身の自信の獲得にもつながるものと考えます。 ◆具体的な支援の内容 デイケアに参加すること自体を楽しむことができるレクリエーションの要素を取り入れたプログラムがあることで、主体的な生活に深みをもつことができるようになるものと考えます。そのためには、多様なプログラム用意し、個々のニーズや希望に応じて選択できるような配慮が求められます。 ◆効果的な援助要素 □デイケアの参加を楽しめるプログラムがある ・レクリエーション、スポーツ、カラオケなど □対象者の希望やニーズに応じてデイケアのプログラムに反映させている □対象者が中心となって運営するデイケアプログラムがある □参加プログラムは主体的に選択できるよう様々な選択肢を用意している

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