F-2利用者を支援者にする

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      意義と目的 生活保護就労支援プログラムでは、利用者を主体的なチームの一員と考えています。そしてチームの一員として貧困やイメージの悪さに対処し、就労を実現した利用者は、生活保護から自立するために必要な多くの知識やスキルを得ています。極めて専門的なこれら多くの知識やスキルを持った利用者は、他の利用者を支援する支援者として適任です。 また、利用者が支援者になることでマンパワー不足、支援スキル不足の解消に貢献します。   具体的な支援内容 元生活保護利用者は、知識とスキルを直接支援の場で使うことが期待されます。利用者の多くは、貧困とイメージの悪さに傷つき将来に希望を見出せない状態です。特に目標の共有化が困難な利用者の場合、参考例として元利用者と会うことが有効です。 福祉事務所内外もイメージの悪さにあっていることから、一歩目として福祉事務所周辺の支援機関で働くことが期待されます。委託先NPOスタッフとして働いたり、すでに就労を実現した利用者が入って現在求職活動中の利用者と交流を図るグループを開催したり生活保護利用者が他の生活保護を受けている人にチューターとして関わるなど全国でできることから始まっています。   効果的な援助要素 □ 元生活保護利用者がスタッフとして働いている □ 就労者との交流を図るグループが月1回以上用意されている(委託NPOでの開催も含む) □ 生活保護を受けている本人が他の生活保護を受けている人にチューターとして関わっている □ 保護廃止後の人が立ち上げたピアサポートグループにファシリテーターとして関わっている  

F-1 利用者の相互作用を活用している

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  意義と目的 これまで生活保護利用者へのサービス提供は利用者が相互に否定的な認識を持ちやすいという観点から集団に対するサービス提供はほとんど行われていませんでした。しかし、相互に否定的な認識を持ちやすいことは、利用者の性格や行動が問題なのではなく、イメージの悪さが問題であるといえます。「生活保護就労支援プログラム」ではこのような基本姿勢のもと、利用者の相互作用に着目することを奨励します。   具体的な支援内容 全国的にみると利用者が集団で支援を受けられるプログラムが出始めています。NPOなどを介して集団に対してアプローチすることで、福祉事務所からアプローチする困難さを回避するなどの工夫がみられます。   効果的な援助要素 □ 利用者が集団で支援を受けられるプログラムを用意している □ 模擬面接会で利用者同士が互いに面接態度などを講評し合っている □ フリースペースやボランティア活動など様々な形で居場所つくりをしている □ 参加を最優先にした利用者同士の仲間づくりのための生活の基礎セミナー(料理教室・家計簿のつけ方など)を実施している □ 利用者が集団で支援を受けられるプログラムを用意している  

E-3 生活保護廃止後も継続してフォローアップを行っている

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    意義と目的 利用者を雇用した企業への継続支援を行うことが必要です。これは、利用者の職場環境を安定させ、企業側にはより多くの利用者を安心して受け入れる環境を提供するために有効です。   具体的な支援内容 生活保護のイメージの悪さに対する疑問を解消することや、同僚などへの生活保護イメージの悪さの理解を促進する活動などが考えられます。 まずは、就労者を受け入れた企業に対して、利用者に対する継続的な支援が提供できることを伝えることが必要です。これは、離職防止にも役立ちます。就労者を受け入れた企業に対して、雇用主や同僚の相談に応じることができることで、利用者に対する不安を軽減することができます。 就労後の受け入れ企業に対する支援・対応方法や生活保護イメージの悪さ対策などをマニュアル化することができれば、スムーズかつ均質な支援が可能になります。企業での就労経験のあるスタッフは、利用者と企業の双方の状況が分かるため、企業支援スタッフに適任であると考えられます。専任スタッフであることが望ましいですが、それが難しい場合には兼任でも問題ないと考えられます。   効果的な援助要素 □ 委託した企業が保護廃止後も継続したフォローをしている □ 保護廃止後もフォローとして手紙を出している □ 保護廃止後もいつでも電話してきてよいと伝えている □ 自立の後、危ないなと思ったら面接もしている □ 保護廃止後も様子を見に行くことがある  

E-2 他機関と協働で定着支援を実施している

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    意義と目的 就労が開始した後、福祉事務所が他機関と協働で定着支援を計画・実行していくことで、就労に伴うトラブルを速やかにアセスメントして再計画に結びつけることが可能となります。その結果、利用者の安定就労による自信の回復につながります。   具体的な支援内容 就労が開始した後で、利用者を中心とした就労定着支援計画を立てるための面接を行います。そこで作成された計画にそって、福祉事務所・医療機関・就労支援機関・企業などを適宜含めた関係機関との情報の共有化により、利用者を支援していきます。   効果的な援助要素 □ 個別支援計画には、プログラム利用中、就労移行後の包括的な就労生活支援計画を立てる □ 就労支援プログラム利用中から、就労移行後の生活を支援する福祉事務所内外の支援チームを立ち上げる □ 離職しないための定着支援プログラムを実施している □ 定着支援、継続支援のために、さまざまな制度や方法を活用する  △キャリアカウンセリングプログラム △相談支援事業 △企業との継続支援契約 △利用者・家族との継続支援契約 △市町村の独自事業△障害者就労相談・シルバー人材センターの利用△その他

E-1 プログラム終了後に定着支援を行っている

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    意義と目的 利用者の就労実現後に安定した状態を維持するために、福祉事務所は継続的に定着支援を行う必要があります。これは、就労後に随時起きることが予想されるストレス体験を乗り越える経験が利用者の自信の維持・向上に貢献するからです。   具体的な支援内容 安定した生活が確立されていない場合には、それ以後の支援も考慮する必要があります。これは、必ずしも福祉事務所のみで行う必要はなく、活用可能な制度を組み合わせて利用することも考慮します。具体的な資源としては、民生委員への協力要請や企業とサービス契約を結ぶことも有効です。   効果的な援助要素 □ 就労後6ヶ月以上の期間にわたって利用者への定着支援、継続支援を行うことが申し合わされている □ 就労後3ヶ月の期間にわたって利用者への定着支援、継続支援を行うことが申し合わされている □ プログラム終了時には検討会議を開催し、新たな援助方針、就労生活支援計画を立てている □ 就労実現時のカンファレンスでは、以下の内容について協議することが申し合わされている  △健康管理(服薬管理、症状管理等)  △金銭管理  △通勤・移動支援 □ 就労時に、就労支援プログラムの再利用が可能であることを説明する □ 広報で就労した人の紹介をして定着を支援している。 □ メールでやり取りをすることで就労定着を支援している。 □ 離職しないための定着支援プログラムを実施している  

D−7 問題が生じた時の対応方法が申し合わされている

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    意義と目的 就労支援後の継続支援の中には、離職者や転職者への支援を行うことが含まれます。離職・転職を利用者のプラスに結びつける機会と捉えて支援します。   具体的な支援内容 就職した利用者が離職する場合、利用者は精神的な負担を感じる場合が多いと予想されます。このため、離職時の積極的な支援も重要な役割の1つです。利用者の負担軽減のためには、生活保護就労支援プログラムの再利用が可能であること他機関の利用方法などの情報提供が役立ちます。また、離職自体は必ずしもマイナスの経験のみではないことを伝え、離職原因をともに確認することで、利用者の就労に向けた動機付けを行い、モチベーションを維持することが可能になります。 また、離職時、転職時の雇用先に対する支援も重要な役割です。雇用先との信頼関係をつくることは、利用者のサービス提供にも役立ちます。雇用先との信頼関係の構築は、他の利用者の就職時にも役立つので、充分な打ち合わせの機会を持つことが重要です。 転職者については、可能な限りキャリアアップに向けた支援を心がけます。また、新たな就職に向けて、可能な限り就職情報を提供することが必要になります。   留意点 生活保護就労支援プログラムでは離職を「利用者が望まない行動」とし、転職を「利用者が望んだ行動」としました。このため、離職したものには心理的なケアなどの支援も必要になります。また、転職者に対してはキャリアアップを念頭に支援することが必要になります。   効果的な援助要素 □ 指導への不満を利用者が訴えた際は事情をよく聞き、説明不足の点があった際は謝っている □ 就労意欲維持に対する支援が必要と判断した場合は2週間に一度程度ごとに利用者に声かけをしている □ 離職理由が適切な場合は、利用者が仕事を辞めることを積極的に垂涎することが申し合わされている □ 離職した者には、新たな就労支援計画を作成して他の仕事を探すことを支援する □ 約束のキャンセルが続いた場合など、就労支援員が家庭訪問をしている □ 離職した者には、離職をマイナスの経験にしないため、その経験から学んだことを肯定的に位置づけることが申し合わされている □ 問題が生じた場合に医師や社会福祉士、精神保健福祉士など福祉事務所の職員以外の専門家も交え判定会議を行っている □ 問題が発生した時に、必要に応じてケースワーカーやSV、各種支援員で話し合いの場を持ち、援助方針の見直しを行っている

D−6 就労へのサポートとしてこどもへの学習支援を実施している

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      意義と目的 就労へのサポートとしてこどもへの学習支援を実施することで、親の子育て不安が軽減され、親の就労につながりやすくなります。特に義務教育が終わる中3になって親の子育て不安は高まり、子どもにとっていい環境が実現しづらくなります。そこで、子どもへの学習支援を行えば、利用者の子育て不安は軽減し、こどもの環境を整えることで親の就労へとつながっています。   具体的な支援内容 学習支援を実施する協力NPOを迎え、対象学年等を決め、少人数の学習グループを形成します。子どもは少人数により形成されるグループ分けをしていくことで、主の理解が定着してくる。   効果的な援助要素 □ こどもの学習を支援する □ 学習支援の一環として問題集を集めて配っている □ 不登校児の親面接を実施することで子どもとの関係についての相談活動をしている □ 学校への訪問を実施して学校の先生との連携をとるようにしている □ 専門家による中学生への進路相談を実施している

D−5 企業やNPOやハローワークなどと連携している

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      意義と目的 「生活保護就労支援プログラム」の目的は、利用者の生活の質の向上です。そのためには、福祉事務所は利用者の生活を支える可能性のある社会資源(企業・NPO・ハローワークなど)と利用者とのパイプ役となることが期待されます。積極的で継続的な連携の方法をとることで多人数で他職種の就労支援チームを形成することが可能となります。   具体的な支援内容 企業やNPOやハローワークとの連携には多くの継続的な工夫が必要です。企業・NPOへの開拓訪問はもちろんのこと、就職後には協力企業・NPOとの連絡会を開催することで連携を具体的に進めていくことが重要です。また、ハローワーク連絡・訪問のみならず緊急雇用対策事業や商工会議所、キャリアカウンセリング専門会社などとも連携することで就労支援を多角的に進めていくことが可能となります。   効果的な援助要素 □ ハローワークへの登録者数(利用者の70%以上) □ 利用者が就職後も就職先の事業所との連絡会を開催し、情報の共有と相互の交流を図っている □ 緊急雇用対策事業を活用し緊急雇用事業の情報を労働行政部門から少し早く流してもらっている □ ハローワークへの連絡・訪問を定期的に行なっている □ 企業開拓のため訪問する企業の業種が多岐に渡っている □ 商工会議所など、地域の経営者団体との連絡を月1回以上取っている □ 意欲支援業務を専門の民間会社に委託している □ 民間職業紹介プログラムに利用者を紹介している □ 他機関連携においてはケース主体になるようお互いのやり方を伝え合っている

D−4 定期的にカンファレンスを開いている

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    意義と目的 生活保護就労支援プログラムでは、就労支援におけるチームアプローチが重要です。就労支援のさまざまな側面からチームスタッフが関わり、チームが適切に機能するように定期的なチームミーティングを開きます。   具体的な支援内容 福祉事務所内外の就労支援に関わるスタッフによるチームアプローチが必要です。 このチームには、就労支援のみならず、職場定着支援や就労継続支援の担当者も参加することが可能であれば、スムーズな就労の実現が可能になります。また、実習・雇用先の開拓などを行うスタッフが参加すれば、実習・雇用先の状況を共有することも可能になります。なお、チームには就労のスーパービジョンを行う担当者が参加することで、就労支援の方向性が明確になります。 チームミーティングの頻度は高い方がより効果的であると考えます。ミーティングは、週に1回以上が理想的ですが、月に1回以上あれば効果があると考えられます。ただし、利用者の状況に応じたチームアプローチを行うことが重要です。   留意点 チームアプローチの方法は多様であり、その効果のばらつきもあります。また、チームミーティングも形式にこだわらないコミュニケーションの充実によって変えることもできます。あくまで目的は「利用者のため」により良い支援を提供することであり、会議を開くこと自体が目的ではないことに注意が必要です。   効果的な援助要素 □ 面接担当者・ケースワーカー・就労支援専門員・コーディネーターなどでミニカンファを随時行っている □ 担当係内全員参加のケース検討会議を毎週開催している □ ケース会議を毎月実施し、利用者一人ひとりについて進捗状況の把握や援助方針の見直しを行っている □ 就労支援チームには、就労後の定着支援、継続支援を行う担当者やコーディネーターが含まれる □ 福祉事務所内外の就労支援に関わるスタッフがチームを組んで、月1回以上チームミーティングをもつ □ 福祉事務所内外の就労支援に関わるスタッフがチームを組んで、必要に応じてチームミーティングをもつ

D−3 多職種でアセスメントし、それぞれの専門性に基づいた支援をしている

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      意義と目的 問題を多職種でアセスメントすることで、利用者が自分自身と問題とを分け、正確に客観視することにつながります。問題は一つの理論から一つの専門性に基づいてアセスメントされると「大きな」問題に見えがちです。多職種でそれぞれの専門性に基づき問題をアセスメントすることで問題をバラバラにし、優先順位をつけ行動計画に結びつけられる可能性が高まります。   具体的な支援内容 多職種で同時期にアセスメントすることが望ましいのですが、困難な場合は、同行支援から始めることをお勧めします。ケースワーカーや就労支援員は、病院やハローワークのみならず、精神保健福祉士、健康管理支援士、弁護士などの元へ積極的に出向いていき、生活場面を知っている専門家としてアセスメントした結果を提示し、それぞれの専門家からのアセスメントを情報提供してもらう。   効果的な援助要素 □ 受診行動の改善や病気の悪化予防を目的として、健康管理支援員の配置やかかりつけ医との連携をしている □ なかなか病院に繋がらない人に対して精神保健福祉士がケースとストレスの軽減を目的とした面談している □ 療育手帳の取得のため病院同行し相談援助を実施している □ 精神的な疾患の可能性検証のための嘱託医や保健師による同行訪問する □ 問題が生じた場合に医師や社会福祉士、精神保健福祉士など福祉事務所の職員以外の専門家も交え判定会議を行っている  

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