本マニュアルの活用法

   3-1. 目的 本マニュアルは、SSWer活用事業を展開していく際の共通の枠組みを提示したものである。マニュアルは、(1)教育委員会担当者が活用する「組織計画」、(2)SSWerが活用する「サービス利用計画」の2つを作成している。 なお、本マニュアルは共通の枠組みを示したものであることから、自治体ごとの特色ある事業作りや実践を反映できていない可能性がある。本マニュアルを議論の土台として、より自治体にフィットしたマニュアルに改訂されることが必要といえる。   3-2. 対象 このマニュアルが対象としているのは、事業実施主体である教育委員会のSSWer活用事業担当者とSSWerである。主に、組織計画を教育委員会担当者、サービス利用計画をSSWerが活用できるように作成している。ただし、SSWer自身が事業発展に貢献する組織計画を行うこともあるので、組織計画の一部の項目にSSWerが関与するものを含めている。それらの項目については、組織計画の最後、「SSWerのマクロアプローチ」として位置づけている。   3-3. 留意点 各論において、前半で「目的および具体的実施内容」を示し、後半では実際の項目を記載している。各チェックボックスには□と△の2種類の記号を使い分けている。□は、「以下を活用している」という意味で用いている。△は、□の下位項目であり、1つずつ活用しているかどうかを考えるポイントとなっている。   ≪組織計画≫ 都道府県教育委員会、あるいは市町村教育委員会のいずれが主体となって行うのかにより、それぞれのフレイムが異なってくる。ここでは主体となる教育委員会中心に記載してある。両者が主体となる場合は、それぞれが役割分担のもとで行う意味で記載してある。   ≪サービス利用計画≫ SSWerの活動は「派遣型」と「派遣型」の配置形態によって異なるため、どちらか一方のみが該当すると考えられる項目については、チェックリスト中に<配置型>あるいは<派遣型>と記載した。(「巡回型」といわれる配置形態は、ここでは便宜上「派遣型」に含む。)このような指定のある項目は、該当する配置形態のところ(配置型・派遣型を兼務されている(並行)場合は、両方)の項目を参照されたい。また、<配置>と<派遣>に共通して該当すると考えられる項目については、特に記載していない。      

フィデリティ尺度によるプロセスモニタリングと尺度の妥当性

  フィデリティ尺度の妥当性を検証するために、「効果的援助要素」に基づく介入調査を実施した。調査期間は、2013年6月~9月および2013年12月~2014年1月である。調査結果は、図4、5(組織計画、サービス利用計画)である。効果的援助要素は、教育委員会担当者、SSWerに対するインタビュー調査、実践家参画の研究会を踏まえて作成している。その結果、プログラムが備えるべき要素は十分網羅されており、内容的妥当性を有していると考えられる。 結果をみて分かるように、同一領域内でも実施度のばらつきがみられる。できている点と課題点を明確にできる上で有用性をもっているといえる。  

フィデリティ尺度の開発方法

  フィデリティ尺度は、あるプログラムが効果的なプログラムの基準に準拠している程度を測定する尺度である(Bond et al.2000)。良いアウトカムを予測する効果的援助要素を組み合わせて尺度構成する。科学的根拠に基づく実践(EBP)が求められる現在、フィデリティ尺度は実践が意図されたとおりに導入されているのかについて評価する系統的方法として注目されている(Drake et al.2005)。以下、効果的援助要素とフィデリティ尺度に関する一例を挙げる。   例.教員のニーズに沿う(プログラム項目の1つ) ①効果的援助要素の抽出 ・教員のニーズに合わせて事例について一緒に考える ・担任と学級の環境や雰囲気について一緒に考える ・教員の活動や考えについて、SWの視点から賛同する旨を伝える ・SSWerの活動を教育目標や教員の方針とすり合わせる ②各効果的援助要素についての重みづけ ・教員のニーズに合わせて事例について一緒に考える(○) ・担任と学級の環境や雰囲気について一緒に考える(○) ・教員の活動や考えについて、SWの視点から賛同する旨を伝える(○) ・SSWerの活動を教育目標や教員の方針とすり合わせる(●) ※本研究班では、重みづけに基準としてSSWer初心者レベルの実践(○)、SSWer上級者レベルの実践(●)の2つを採用した。   ③重みづけに基づく5段階尺度へのあてはめ ・○0~1項目・・・・・・・・1点 ・○2項目・・・・・・・・・・2点 ・○3項目または●1項目・・・3点 ・○2項目+●1項目・・・・・4点 ・○3項目+●1項目・・・・・5点   以上②③の作成過程が、フィデリティ尺度の開発である。フィデリティ尺度の開発方法 は、SSW研究者およびSSW実践者を含めた研究室メンバーでの議論、全国自治体におけるプログラム試行調査結果によるものである。       引用文献 Bond et al.(2000).Measurement of fidelity in psychiatric … Continued

効果的援助要素

前項で述べたように、スクールソーシャルワーカー配置プログラム効果モデル(以下,「効果モデル」とする)構築のために、事例的プログラム評価調査の結果やプログラム評価の理論と方法論を用いて、プログラムが効果的に機能するために必要と考えられる「効果的援助要素」を抽出した。「効果的援助要素」は以下のように組織計画では8領域、サービス利用計画では4領域に分類される。   ≪組織計画≫ A. (年度ごとの)事業開始にむけて情報収集 B.戦略を練る C. 職務内容の設計 D. 事業の配置 E. SSWerの資質の向上と維持 F. 事業・実践の評価 G. 事業の拡充 H. SSWerのマクロアプローチ ≪サービス利用計画≫ A.学校組織へのアプローチ B.教育委員会へのアプローチ C. 関係機関地域などへのアプローチ D.子ども・保護者へのアプローチ 組織計画の8領域は、さらに「A-1 学校・地域の実態把握と課題分析」、「A-2ソーシャルワークの視点を持つ人材の必要性を認識」などの28項目からなり、項目は実践の場における活動などを含む148要素から構成されている。サービス利用計画の4領域は、24項目からなり、140要素から構成されている。

サービス利用計画

SSWer配置プログラムにおけるSSWerによるアプローチは、教育委員会へのアプローチ、学校組織へのアプローチ、関係機関へのアプローチ、子ども・保護者へのアプローチの4つである。上位に挙げている項目(学校アセスメント)から1つずつ下の項目を実施していくことで、効果的なSSW実践が行えるようになっている。      

組織計画

 SSWer配置プログラムにおける教育委員会によるアプローチを、1)(年度ごとの)事業開始にむけて情報収集、2)戦略を練る、3)管理、以上3つのカテゴリーに必要とされる項目を整理し、スクールソーシャルワーカー配置プログラム 組織計画図を作成した。   (年度ごとの)事業開始にむけて情報収集を行うために、まず、学校・地域の実態を把握し、課題を分析することが必要となる。その上で、教員以外にソーシャルワークの視点や専門性を持つ人材が介入することが必要であるという認識を持ち、情報収集を行う。これまでに行った課題分析の結果と、広く収集した情報とをもとに戦略を練るための土台を作成する。管理段階     では、職務内容の設計、事業の配置、SSWerの資質の向上と維持、事業・実践の評価、事業の拡充を行う。   以上3つのカテゴリーをより効果的に実施するために、SSWerのマクロアプローチが重要となる。  

インパクト理論

私たちはプログラムの最終ゴールを「ひとりひとりの子どものQOLの向上/支えあう地域ができる」と定めた。最終ゴールに到達するには、教員の子ども・家庭への認識変化、教員の専門性の向上などが求められる。

F-2利用者を支援者にする

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      意義と目的 生活保護就労支援プログラムでは、利用者を主体的なチームの一員と考えています。そしてチームの一員として貧困やイメージの悪さに対処し、就労を実現した利用者は、生活保護から自立するために必要な多くの知識やスキルを得ています。極めて専門的なこれら多くの知識やスキルを持った利用者は、他の利用者を支援する支援者として適任です。 また、利用者が支援者になることでマンパワー不足、支援スキル不足の解消に貢献します。   具体的な支援内容 元生活保護利用者は、知識とスキルを直接支援の場で使うことが期待されます。利用者の多くは、貧困とイメージの悪さに傷つき将来に希望を見出せない状態です。特に目標の共有化が困難な利用者の場合、参考例として元利用者と会うことが有効です。 福祉事務所内外もイメージの悪さにあっていることから、一歩目として福祉事務所周辺の支援機関で働くことが期待されます。委託先NPOスタッフとして働いたり、すでに就労を実現した利用者が入って現在求職活動中の利用者と交流を図るグループを開催したり生活保護利用者が他の生活保護を受けている人にチューターとして関わるなど全国でできることから始まっています。   効果的な援助要素 □ 元生活保護利用者がスタッフとして働いている □ 就労者との交流を図るグループが月1回以上用意されている(委託NPOでの開催も含む) □ 生活保護を受けている本人が他の生活保護を受けている人にチューターとして関わっている □ 保護廃止後の人が立ち上げたピアサポートグループにファシリテーターとして関わっている  

F-1 利用者の相互作用を活用している

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  意義と目的 これまで生活保護利用者へのサービス提供は利用者が相互に否定的な認識を持ちやすいという観点から集団に対するサービス提供はほとんど行われていませんでした。しかし、相互に否定的な認識を持ちやすいことは、利用者の性格や行動が問題なのではなく、イメージの悪さが問題であるといえます。「生活保護就労支援プログラム」ではこのような基本姿勢のもと、利用者の相互作用に着目することを奨励します。   具体的な支援内容 全国的にみると利用者が集団で支援を受けられるプログラムが出始めています。NPOなどを介して集団に対してアプローチすることで、福祉事務所からアプローチする困難さを回避するなどの工夫がみられます。   効果的な援助要素 □ 利用者が集団で支援を受けられるプログラムを用意している □ 模擬面接会で利用者同士が互いに面接態度などを講評し合っている □ フリースペースやボランティア活動など様々な形で居場所つくりをしている □ 参加を最優先にした利用者同士の仲間づくりのための生活の基礎セミナー(料理教室・家計簿のつけ方など)を実施している □ 利用者が集団で支援を受けられるプログラムを用意している  

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