2-5.フィデリティ尺度の開発方法
フィデリティ尺度は、あるプログラムが効果的なプログラムの基準に準拠している程度を測定する尺度である(Bond et al.2000)。良いアウトカムを予測する効果的援助要素を組み合わせて尺度構成する。科学的根拠に基づく実践(EBP)が求められる現在、フィデリティ尺度は実践が意図されたとおりに導入されているのかについて評価する系統的方法として注目されている(Drake et al.2005)。以下、効果的援助要素とフィデリティ尺度に関する一例を挙げる。 例.教員のニーズに沿う(プログラム項目の1つ) ①効果的援助要素の抽出 ・教員のニーズに合わせて事例について一緒に考える ・担任と学級の環境や雰囲気について一緒に考える ・教員の活動や考えについて、SWの視点から賛同する旨を伝える ・SSWerの活動が教育目標や教員の方針とずれないよう、教員とすり合わせる ②各効果的援助要素についての重みづけ ・教員のニーズに合わせて事例について一緒に考える(○) ・担任と学級の環境や雰囲気について一緒に考える(○) ・教員の活動や考えについて、SWの視点から賛同する旨を伝える(○) ・SSWerの活動を教育目標や教員の方針とすり合わせる(●) ※本研究班では、重みづけに基準としてSSWer初心者レベルの実践(○)、SSWer上級者レベルの実践(●)の2つを採用した。 ③重みづけに基づく5段階尺度へのあてはめ ・○0~1項目・・・・・・・・1点 ・○2項目・・・・・・・・・・2点 ・○3項目または●1項目・・・3点 ・○2項目+●1項目・・・・・4点 ・○3項目+●1項目・・・・・5点 以上②③の作成過程が、フィデリティ尺度の開発である。フィデリティ尺度の開発方法は、SSW研究者およびSSW実践者を含めた研究室メンバーでの議論、全国自治体におけるプログラム試行調査結果によるものである。