意義と目的
「生活保護のイメージの悪さ」は社会・文化の中に未だ根づいていると言わざるを得ません。福祉の専門機関に勤める者でさえ、文化に根ざした「生活保護のイメージの悪さ」の影響からは逃れられません。生活保護の利用者が生活保護受給という環境にあることの主な要因は貧困のはずです。しかし、専門期間の職員であっても主な要因を利用者の性格や行動に求めてしまいがちです。そして、さらに利用者も「生活保護のイメージの悪さ」のある文化の中にいるために、生活保護受給の原因を自身の性格や行動に求めがちです。そうした誤った現状認識が誤った対処を導き出し生活保護の長期化へとつながります。まずはイメージの悪さに振り回されず正しい現状認識を得るために利用者を主因としないという姿勢が重要になります。
具体的な支援内容
利用者を事実に近い現状認識へと導くよう情報提供していきます。利用者が抱えている事実は、生活保護のイメージの悪さと言うフィルターを通した事実です。その結果、利用者の事実は、自分の行動や性格を主因としていることが多いのですが、データの裏付けのある事実は、貧困そのものが主因となっています。「貧困」と「イメージの悪さ」という2つの問題が重複して起きていることが多い生活保護の現場では、貧困に対してはこれまで通り調査をし所得保障をしていく一方、イメージの悪さという問題へは正しい知識を共有するという対処が必要となります。具体的には、貧困が個人の性格や行動の問題とは別の社会問題として捉えること、イメージの悪さも個人の性格や行動の問題ではなく社会問題であることを伝えることから始まります。
留意点
イメージの悪さという問題は、人によっては共有することそのものがストレスになる場合もあります。無理せず、丁寧に確認作業を進めていきましょう。
効果的な援助要素
□ 生活保護に対する否定的なイメージが、自己肯定感の低下や就労意欲の低下につながって悪循環に陥りがちであることを利用者に伝えている
□ 利用者にプログラムは強制ではないことを伝えている
□ 制度における保護の要件、被保護者の義務についての説明をする
□ 貧困という問題に対して利用者と協力して対処することを伝え、問題と利用者を切り離して説明している
□ 利用者と公平な支援関係をつくることが今後の課題であることを伝えている