3.「生活保護就労支援プログラム」の実施マニュアル

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3.1 「生活保護就労支援プログラム」の目的

生活保護就労支援プログラムの利用者の希望に応じた就労をスムーズに実現するため、必要な援助要素を実践に生かすことが本マニュアルの目的です。
インパクト理論にもある通り、そのゴールは生活の質の向上であり、利用者が安定した地域生活を送ることが可能な環境を整える1つの手段としての就労を意図しております。

3.2 「生活保護就労支援プログラム」の対象

対象は生活保護受給者です。まずは利用者の生活の質の向上が大目標、そのために福祉事務所やそれ以外のNPOなどを対象とした働きかけが必要になります。

3.3 用語の定義

本マニュアルが対象としている生活保護受給者等就労支援事業は、通達に基づく福祉事務所の活動を中心としています。しかし、通達が示す活動範囲のみでは、充分な就労支援が難しいため、本マニュアルが定める範囲や語句と通達が定める事業範囲や語句は、若干の差異があります。生活保護就労支援プログラムの範囲については、各モデルで示しました。
就労支援スタッフは地域によって担い手は変わってくることが想定されます。多くの場合、生活保護ケースワーカーと就労支援専門員が就労支援スタッフとなります。
コーディネーターも地域によって担い手は変わってくることが想定されます。多くの場合、査察指導員と運営担当がなります。

3.4 マニュアルの特徴

このマニュアルの特徴は、生活保護就労支援プログラムの利用者を中心に据えたモデルを提供している点にあります。また、厚生労働省の示した事業範囲を超え、地域における成果に結びつく就労支援事業モデルを提案していることにあります。今回は、利用者に対する直接支援を中心にマニュアル化をしました。本マニュアルは、可能な限り多くの福祉事務所に利用していただけるように工夫をしています。
しかし、すべての福祉事務所が利用できるか否かの判断が難しい点もあります。運営上の課題、利用者自身のキャリア形成なども充分とはいえない可能性があります。これらは、生活保護受給者等就労支援事業だけでなく、他の社会福祉資源と共に検討すべき課題であると考えます。このため今回のマニュアルでは割愛しています。
本マニュアル作成過程において、有益な実践事例、利用可能な制度、国や地方自治体による事業についても、多くの情報を得ることができました。利用者の早期の就労を実現するために、利用可能な制度や工夫は共有すべきであると考えます。この点は今後の課題としたいと考えます。