2.3インパクト理論 〜生活保護就労支援プログラムの目標と使命〜

posted in: 生保自立支援 | 0

「生活保護就労支援プログラム」がもたらしうる効果として、プログラムを提供する側である組織の充実と利用者の生活の質の向上が挙げられます。
 
「組織の充実」とは、企業やNPOなどの地域資源が、貧困は個人の問題ではなく社会の問題であることを十分に理解し、就労支援に参加することを意味します。「組織の充実」は主としてプログラム導入の初期段階でその達成がはかられるものであり、「生活保護就労支援プログラム」における、近位のアウトカムとして位置づけられます。
 
「質の高い自立した就労生活の実現」とは、利用者が人間らしい自分らしい就労生活を送り幸福を見出している度合いの向上を意味します。「生活保護就労支援プログラム」の導入によって、生活保護からの自立に必要な知識を獲得することができたり、求職活動に必要なスキルを向上させることができたり、就労体験が蓄積されたりすることで、利用者の自信が向上します。この自信の向上までが、中位のアウトカムとして位置づけられます。その後、早期の自立実現、自立生活の維持・安定を通して、利用者の「質の高い自立した就労生活の実現」を目指します。これらは遠位のアウトカムとして位置づけられます。
 
また、「質の高い自立した就労生活の実現」を実現した利用者の中には、プログラムを提供する側の一員となることで「組織の充実」に寄与する人もいます。個人の「質の高い自立した就労生活の実現」だけではなく、プログラム終了者が支援者としてプログラムに継続的に関わることで、ピアサポートグループが形成され、「組織の充実」がはかられ、ひいてはプログラム自体の質も向上していくこと考えられます。このため、ピアサポートグループの形成による支援体制の充実も遠位のアウトカムとして位置づけられます。

 
 

2-3